怪物になってもかまわない
おまえは私が殺す
ハン・ソヒ主演のアクションノワールドラマ
この手の復讐ノワールの主人公が女性というのは珍しいですが、ハン・ソヒの演技力とカリスマ性が炸裂しています!
出典:Netflix
作品情報
原題 마이 네임(My Name)
2021.10.15~
Netflix Original
演出・脚本
演出:キム・ジンミン『無法弁護士』『人間レッスン』
脚本:キム・パダ
あらすじ
自分のすぐそばで命を奪われた父。たとえどんな代償を払うことになろうとも必ず仇(かたき)を討つと誓った娘は、犯罪組織のボスの後ろ盾を受け、警察へと潜入する。
https://www.netflix.com/jp/title/81011211より
感想①ネタバレなし
好き度🍙★★★☆☆
Netflix制作の8話完結の短編ドラマ。
父親を目の前で殺された少女がすべてを捨てて復讐に生きる物語。
Netflix制作の短編ドラマは「人間レッスン」「ムーブ・トゥ・ヘブン」「D.P. 脱走兵追跡官」「イカゲーム」など、社会に一石を投じるメッセージ性の強い作品が多いですが、今作はハードボイルドなアクションノワールで、何かを伝えるドラマというよりは作品の世界観にどっぷりハマって楽しむ作品です。
8話完結でストーリーは比較的シンプルな分、役者さんたちの演技の素晴らしさやノワール感たっぷりの演出が光る作品でした。
見どころは、とにかくハンソヒがかっこいい!
「普通の人間として生きることはあの日玄関の前に捨ててきた」な狂犬の生き様を見事な演技力で演じていて、ハンソヒ姐さんが綺麗なだけの女優さんではないことを完全証明しました。(全然年下なのに姐さんと呼びたくなる)
出典:Netflix
少ない台詞の中、暗い闇の中で燃え続ける怒りを表情だけで魅せ、どこか虚ろな表情に悲しさ虚しさを感じさせ。
鬼気迫る表情が、ほぼノーメイクなのに美しすぎるお顔に映えて痺れます!
そしてアクションが想像以上に激しい!
出典:Netflix
汗まみれで張りついた髪の毛を振り乱しながら戦うハンソヒが痺れます…
この作品ために筋肉量を10Kg増やしたのだとか!
これを「わかっていても」でソン・ガンとイチャコラしていたのとほぼ同時に撮影していたというからさらに驚き…!
閲覧注意なのが、肉弾戦シーンがけっこう生々しいです…
ナイフが人体に食い込むサウンドが聞こえてくるので、見ていられずに超薄目で見た箇所がいくつかありました。
目を閉じても聞こえてくるからやっかい。
むごいの苦手な方はご注意ください。
そしてハン・ソヒ以外の出演者も、登場人物ひとり残らずかっこいい。
これまで見たどの作品よりもかっこいいアン・ボヒョン。
出典:Netflix
梨泰院クラスの悪役の子ってイメージで見てしまったら、男らしさと穏やかさと思慮深さのトリプルパンチで即沼送りにされます。
ご注意ください。
ハン・ソヒ演じるジウを見守る麻薬組織のトップ、チェ・ムジン(演:パク・ヒスン)
出典:Netflix
渋い。シンプルに渋い。
シンプルに痺れる…!
そして、ムジンの右腕で組織2番手のテジュ(演:イ・ハクジュ)
出典:Netflix
かっこ良すぎてやばい。
わたくし、この右腕の男テジュを演じるイ・ハクジュに今作で完全に堕ちてしまいまして(照)
なんでこれまでイ・ハクジュの魅力に気づかなかったのか。過去の自分を殴ってやりたい。
これまで見てきたイ・ハクジュの過去作を復習し(夫婦の世界のDV男、恋愛体質の自由人などほぼクズ人間役)クズでもかっこいい…などと思った時点で、イ・ハクジュに陥落したことを認めざるを得ませんでした。
目つきの悪さもあって確かに悪役顔なんだけど、だからこそ笑った時の笑顔にやられるっていうか(好き)
外では凶悪なくせにボスの顔色を伺うような表情がかわいくて(好き)
スーツで戦うシーンはただただかっこいい(好き)
パク・ヒスンやアン・ボヒョンのように目立つ役ではないですが、敵か味方かわからない本心の見えない役柄がイ・ハクジュの魅力に合っていて素晴らしかったです!
イ・ハクジュ氏のインスグラム。
ハンソヒちゃんが最後の写真を最初にしなきゃってコメントしててわかりすぎる~
ワイシャツの袖まくったらダメ~
好きになっちゃうからダメ~
みなさん、スクロールして4枚目(最後)の写真をぜひご確認ください。
感想②ネタバレあり
※ここからドラマの内容に触れています。
ハン・ソヒ演じるジウの復讐を追ったストーリーはとてもシンプル。
登場人物の人物設定もシンプル。
復讐に生きる女、女を見守る同僚、忠実な右腕など。
唯一シンプルじゃなかったのが麻薬組織のボス、チェ・ムジンであり、彼こそが真の主人公だったような気がします。
信頼していた相棒が実はアンダーカバーだった、その相棒をみずからの手で殺した過去をいまなお引きずっていて、ダンディーな佇まいと相反して想像以上に感傷的な人物でした。
出典:Netflix
信頼していた仲間に裏切られた怒り、悲しみ。
もういない相棒への愛しさや寂しさ。
得られなかった絆を娘のジウに求める、まさに愛憎というような複雑な思いが共存していて。
悪役なんだけど妙に切なく感情移入してしまいまいした。
(ジウ父との思い出の写真や回想シーンを繰り返し見せ、ムジンに感情移入させる制作側の思惑に完全にハマった私)
ジウに殺されたがっているような。
かつて自分が殺した相棒との決着をつけたがっているような。
破滅にむかう狂気に満ちたムジンのまなざしが、寂しがりやの野ウサギのようにも見えて。
出典:Netflix
ジウにカモミールティーをもらってホクホクしているムジンがどんな気持ちで微笑んでいるのか、そのシーンの時点ではいまいち理解できないのですが、ジウの姿に自分が殺した相棒の姿を見ていたんだと思うとせつない。
カモミールティーせつない。
(少女を自分の好きに育てたい光源氏的な感情でホクホクしているのかと思ってしまってごめんなさい)
ムジンの右腕テジュがジウを敵視するのも単純な嫉妬心だけではなく、ジウに相棒の姿を重ね合わせるムジンの危なっかしさを心配してのことで、私のイ・ハクジュテジュが器の小さいヤキモチ男じゃなくて良かったです…
(うまくいかなかったサムゲタン屋の娘との恋が気になるところですが)
出典:Netflix
今作を見終わって思うに「マイネーム」というタイトルがなかなか秀逸。
視聴前は単に「名前を捨てて復讐に生きる」と言う意味のタイトル「マイネーム」だと思ってました。
ジウが捨てたユン・ジウという名前。
それは麻薬組織構成員ユン・ドンフンの娘としての名前であって、実はジウの本名ではなく、本当のジウの名前は警察官ソン・ジュンスの娘、ソン・ジウだった。
捨てたと思っていた名前は本当の名前ではなかった…
父親の正体や殺害の真実、ジウの覚悟、復讐の結末など複数の意味を含ませたナイスタイトル…センスが良すぎます!
邦題につけられている「偽りと復讐」というサブタイトルはいらんかな~と思うなど。単にダサいというのに加えて「誰かが何かを偽っている」というのを発表しちゃってるネタバレタイトルだと思うなど!!!
出典:Netflix
その他には
・悪役ト・ガンジェ役のチャン・リュルさん、実物は爽やかすぎて一瞬誰かわからない。
・みんな不死身すぎ。ぶっ刺されてるのに。
・「顔・腕・足」はさすがに選べない。
・チーム長キム・サンホさん悪役じゃなくて良かった。ソンホおじさんには善良な役だけやってほしい。
・ジウの高校の先生が夫婦の世界のクズ友達
苦手なジャンルなので★は3にしました。
この手の映画やドラマは普段ほとんど見ないのですが、ハン・ソヒ大好きなので、彼女の新たな一面を見られてとても見ごたえのある作品だったと思います!