タゴンがアスダルの王となって8年後
テアラはタゴンの子を産み、ウンソムはイナイシンギとなりアスダルと戦っていた__
出典:tvN
作品情報
原題 아라문의 검(アラムンの剣)
2023.9.9〜10.22
tvN
12話
演出・脚本
演出:キム・グァンシク『安市城』
脚本:キム・ヨンヒョン
『宮廷女官チャングムの誓い』『善徳女王』『根の深い木』『六龍が飛ぶ』
パク・サンヨン
『善徳女王』『根の深い木』『六龍が飛ぶ』
キャスト
チャン・ドンゴン / タゴン役
『イルジメ〜一枝梅』『友へ チング』『ブラザーフッド』『紳士の品格』
イ・ジュンギ / ウンソム・サヤ役
『アラン使道伝』『TWO WEEKS』『麗<レイ>〜花萌ゆる8人の皇子たち~』『無法弁護士』『悪の花』
シン・セギョン / タニャ役
『根の深い木』『男が愛する時』『六龍が飛ぶ』『ハベクの新婦』『それでも僕らは走り続ける』『新米史官ク・ヘリョン』
キム・オクビン / テアラ役
『銭の戦争』『悪女』『その恋断固お断りします』
あらすじ
韓国の神話にインスパイアされたファンタジードラマ。架空の古代大陸”アス”に最初の都市"アスダル”が誕生して国家が作られる。その中心でそれぞれに異なる欲望を抱く人々の運命を描く。アスダルを手に入れるためには避けられない大戦争がいよいよ勤発。ついに伝説が動きだす。
Disney+より引用
感想
2019年に放送された「アスダル年代記」の続編となる今作。
制作開始の一報と共に発表されたメインキャスト交代の衝撃があまりに大きく、まったく視聴意欲がわかなかったのですが、アスダル年代記を心から愛している者として、終わりを見届けるの意気込みで参陣して参りました。
好き度🍙★★★☆☆
※ネタバレあり。視聴済みの方むけの感想です。
タゴンがアスダルの王となって8年後。
テアラはタゴンの子を産み、ウンソムはイナイシンギとなりアスダルと戦っていた__
主要キャストを交代して制作されたアスダル年代記の続編である今作
【ウンソム / サヤ役】ソン・ジュンギからイ・ジュンギへ
【タニャ役】キム・ジウォンからシン・セギョンへ
主演をふたりも交代して、さらには監督まで交代して制作するという挑戦。
結論から言うと
キャスト交代の壁は高く、厚かった。
いや、あのね。
ソン・ジュンギとキム・ジウォンの降板は事前にわかっていたことなので、ショックを受けながらも消化できたんだけど。
脇を固める俳優さんの多数がキャスト交代していたのが、すごく、本当にすごく見づらかった。
薬師の娘チェウンとヌンビョル、地下道から一緒に這い出したイプセン、イナイシンギの始まりを共にしたアゴ族の戦士たち…
キャスト変更しすぎててもう誰が誰だかという感じでですね…
演者さんが悪いわけではないけれど、キャストを変えるっているのはシーズン1の貯金をすべてなくしてしまうんだなと。
顔を見ただけでシーズン1のあの時の感情が蘇る、みたいなのがなくなっちゃう。
そういう意味では、ダルセとムンテを同じ俳優さんが継続して演じてくれたのはマジで熱かった。特に言葉がなくてもふたりが向き合って立っているだけで、あの出来事やこれまでのいろんなものが込み上げてくるんだもん。
物語はひとりの英雄ではなく、たくさんの人間のかかわりの中に生まれるんだとあらためて感じました。
こんなにたくさんのキャスト変えてまで製作する意味ってなんだったんだろう。
主人公であるウンソム / サヤとタニャのキャスト変更の違和感は想像していたより少なかった気がします。(いや、それ以外のキャスト変更が違和感ありすぎて違和感が薄まったっていうほうが正しいかも)
特にシン・セギョンのタニャは「8年後のタニャ」という雰囲気があってよかったわ。シン・セギョンのもつ神秘的な雰囲気がタニャというキャラクターに合ってた。
出典:tvN
一方、イ・ジュンギのウンソムサヤは最後まで違和感が拭えなかったです。
個人的な考えですが、前ウンソムサヤであったソン・ジュンギと新ウンソムサヤのイ・ジュンギの演技のスタイルが違いすぎる気がしました。
出典:tvN
ソンの方のジュンギさんは自然で繊細な演技
イさんの方のジュンギさんは無骨で劇的な演技
っていうんでしょうか。
8年前のあのウンソムが、このウンソムになる気が全然しないんですよね。
ちなみにソン・ジュンギさん1985年生、イ・ジュンギさん1982年生の3歳差。
ついでにいうと、キム・ジウォン1992年生、シン・セギョン1990年生の2歳差。
「8年の時間の経過を表現するためにキャストを変更して」との公式コメントだったけど、同年代すぎて時間の経過はあんまり感じないかな。
あと、今回のイ・ジュンギさん演じるウンソムとサヤに雰囲気のちがいが感じられなかったのも残念でした。これはイ・ジュンギさんの演技の問題だけでなく、小物やメイク全体であえて「見分けのつかない双子」を演出したのかもしれません。
【アスダル年代記】
サヤ← →ウンソム
【アラムンの剣】
サヤ← →ウンソム
ただでさえキャスト変更で世界観がごちゃついているところに、パッと見でウンソムかサヤか見分けがつかない双子が交互に登場するので、さらにごちゃついたし、混乱しました。
イ・ジュンギさん、断然ウンソム顔なんだよな…
サヤが違和感だった…
そして、全体的にごたついているなか圧倒的な大黒柱だったのがタゴンを演じているチャン・ドンゴン!!!
出典:tvN
表情、佇まい、完全にイッちゃってる目つき、王になってからの年月を感じさせる風格と闇が溢れ出ていて最高でした。
年月の経過を感じさせるのにキャスト変更は必要ないです。
こういう風にすればいいんです。
(アレが降板の言い訳なのは承知の上で)
テアラ様も同じく永遠のテアラ様で非常に良かった。
主演がふたりも降板しても継続して出演してくれた意気込みとアスダル愛に感謝。
出典:tvN
複雑な歴史とキャラクター設定のため視聴率が振るわなかったという前作での反省を活かしてなのか、アラムンの剣はかなり簡潔なストーリー。
すなわち、覇権をめぐっての戦い。
これが好きな人もいるだろうとは思うけど、私には単純すぎた。
権力や戦いの構造はわかりやすいけど、気持ちがわからないというか。
タゴンにとってイグトゥであることの意味とか、テアラとタゴンの愛憎、タニャが奴隷や市井の人々に求めた姿とか、そういう感情面の描写が少なすぎて「アスダル年代記」のような大きく心を動かされる場面はなかったです。
特にサヤについては、ちょっと悲しくなるくらいもっとしっかり描いてくれよ…(泣)ってなりました。
双子として生まれながら、まったくちがう人生を生きてきたふたり。冷たい塔に閉じ込められていた自分と、母に育てられてタニャに愛され自分にないものを全部持っているウンソム。そしていま、自分と同じ顔をもつ敵将となり対峙した時、そこにあるのは憎しみや悔しさだけじゃないじゃん?「アスダル年代記」で見せたサヤのイグトゥであることの選民思想とか、あの燃え上がるような青い炎はどこにいったんでしょうか?
監督が映画「安市城」のキム・グァンシク監督に代わったこともあり、戦のシーンやアクションの演出もやや少年ジャンプっぽい感じ。「アスダル年代記」で丁寧につくりあげた神秘性、文明のはじまり、古代的な湿度のある空気感が薄れたきがして、それも残念でした。
EXOのスホが1話に登場してびっくりしていたら、まさかのタゴンとテアラの息子で驚き。スホの顔の傷含め、オープニングの答え合わせをエンディングに持ってくる演出は嫌いじゃない。
出典:tvN
スホ出してくるからにはシーズン3を作るつもりなのか。
ここで終わってもおかしくないけど、もし3があるのなら、そしたら今度こそサヤの物語になりそうな気がします。たぶんもう見ないけど。
★は2にしようかと迷いながら3にしました。
タゴンをやりきってくれたチャン・ドンゴンに捧げる★です。