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韓国ドラマ「D.P. 脱走兵追跡官 シーズン2」感想

「D.P. 脱走兵追跡官」待望のシーズン2!!!


出典:Netflix

作品情報

原題 디피2(D.P.2)
2023.7.28〜配信開始
Netflix

演出・脚本

演出:ハン・ジュニ
脚本:キム・ボトン

キャスト

チョン・ヘイン / アン・ジュノ役
『あなたが眠っている間に』『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』『ある春の夜に』『刑務所のルールブック』

ク・ギョファン / ハン・ホヨル役
『キングダム:アシンの物語』『新感染半島 ファイナルステージ』『ウヨン弁護士は天才肌』

あらすじ

youtu.be

感想

今年イチ楽しみにしていた作品。

シーズン1が完璧すぎて続編はいらねーと思っていましたが、製作されたとなると見ないわけはない…!ということで、さっそく正座視聴いたしました。
演技、演出、脚本、すべてにおいて期待を裏切らない作品でした。
(でもシーズン3はいらないと思います!)

好き度🍙★★★★☆

※この感想にはふんわりとしたネタバレが含まれています。視聴済みの方向けの感想です。

シーズン1の感想はコチラ
kyonbokkun-onigiri.com





出典:Netflix



シーズン1の配信から約2年。
もう1度シーズン1を復習してから見たほうが良いかと思いましたが、復習は不要。自然とシーズン1の終わりを思い出させる構成となっています。


もうね…

いろいろ忘れてるはずなのに…

私…イントロ映像見ただけで涙あふれて止まらねぇ…

シーズン1の感想にも書いた気がするけど、オープニングの映像が秀逸すぎるんだわ。

今日元気に祝福を受けて生まれてきた男の子が、誰かに愛情をいっぱいに育てられたあの子が、韓国に生まれた男子はみんないつか軍隊に入る日が来るんだという事実が、私の心のいちばん柔らかいところをにぎりつぶしてくる。

このオープニングの秀逸さがドラマの良さそのもので、D.P.はとにかく心に訴えかえる力の強さが半端ない。かといって説教くさくもなく、その塩梅が絶妙なの。

シーズン2は軍内部の姿勢について描いたこともあり、シーズン1に比べてややメッセージ性が強すぎる気がしたので好き度は4にしましたが、シーズン1と変わらずにとても大好きで特別なドラマです。


出典:Netflix

シーズン2は前シリーズと同じ全6話。
(6話という短い物語で私の心の深く忘れられなくさせるなんて…激辛ドラマだわ…)

シーズン1から引き続くキム・ルリ事件、LGBTを描いたカーテンコールなど、どのエピソードも心を揺さぶられてたまらんかったですが、そのなかでも個人的にいちばん印象に残ったのはプルコギ怪談。ここでこのエピソードをいれてくるかぁ〜という驚き。


出典:Netflix

ここまでずっと軍隊によって人生を変えられた若者とそれを阻止しようと心を尽くすDPを描いて、軍隊の悪の部分に焦点をあててきたけれど、「プルコギ怪談」では韓国は未だ停戦中の国で、38度線近くは2023年現在も「前線」で、そこではギリギリの精神状態で軍務に当たる兵士がいるっていう、そもそも軍がなぜ必要なのかということ自然と(ここ大事)描いているのが、この制作陣はほんと信頼できるなとあらためて思いました。


出典:Netflix

イム・ジソプ大尉(ソン・ソック)にとって誠実な後輩だったナ下士が変わってしまったのは、地雷の埋まる前線での極限状態のせいなのか。または元からあった素質なのか。イム大尉が冷静さを欠いた行動をしてしまったのはなぜか。はっきりとした答えが明示されているわけではないけれど、答えのないたくさんの疑問の中に「軍務につく」ということの意味を考えさせられました。


主要な役を演じた俳優さんたち含めて、どのエピソードも演者さんたちの演技がすごいんだけど、プルコギ怪談で重要な役を演じたチェ・ヒョヌクさん × イム・ソンジェさんの演技の幅がもう本当にすごくて。


まったく別人かのようなおふたかたの演技がすごすぎて、私もイム大尉と同じくらいの衝撃を受けました。

おふたりの演技力によって、ひとつの考えに囚われてしまったイム大尉の狂ったような思考が解かれていく感じが表現されてて。囚われた思考から解放されていく感じがして鳥肌…


この回のソン・ソックの演技も背筋が凍るような気持ち悪さがあって、ほんともうソン・ソック大好き。(「気持ち悪い」からの「大好き」が成立する演技のちから)

シーズン1の1話から、少しづつイム・ジソプ大尉が変わっていくのがこれまたおもしろくて、そしてソン・ソックがうまい。シーズン1でテニスに興じていたイム大尉が、自分の進退をかけて裁判で証言する姿をいったい誰が想像したというのでしょう。元奥さんとの仲睦まじかった時代をのぞいてみたい。

シーズン1から引き続くメインキャストたちはもちろん、ジソプの元妻である中領を演じたキム・ジヒョンさん、めずらしく悪役だったチ・ジニさん、まわし蹴りが冴え渡っていたチョン・ソギョンさん、適材適所なキャスティングで絶対的な安心感がありました。


出典:Netflix

チョン・ソギョンさん(写真上)の華麗な回し蹴り、驚くことに、スタントではなくてご自身がされたということで、この情報にはかなり驚きました。あのキレキレの、かつ打点かなり高めのまわし蹴りを、です。韓国の演技業界、おじさん枠まで能力者たちなのが本当にすごい。



続編でも変わらない完成度の高い作品を見せてくれたD.Pですが、シーズン1とシーズン2でいちばん変わったところは、ジュノとホヨルの関係性かなと思います。ふたりのバディ感が好きで、ニコイチで動く彼らが好きだった人にはシーズン2は好き嫌いが分かれる気がします。


出典:Netflix

シーズン1では先輩のホヨルがジュノに仕事を教えながらふたりがバディになっていくところにエンタメ的なおもしろさがあって、それがテーマの重さを緩和していたというか、辛さのなかにある甘みだったけど、シーズン2ではその甘味少ないから、前作よりちょっと辛かった。


出典:Netflix

心に傷を抱えたホヨルがちょっとおふざけしてるのも苦くて、ク・ギョファンのその絶妙な表情も苦いし、危うくて、苦くて、辛い。

ク・ギョファンが本当に良い…


出典:Netflix

ジュノは心が強くて「誰かが背負わなければいけない問題。でも誰がいったいそれをやるのか(俺がやる)」というこのドラマのメッセージそのもの。

反対に、ホヨルは誰もがそれを背負えるわけではないという現実的な存在なのかなと思います。


出典:Netflix

それでもジュノを助けるために動いたホヨルもまた、問題解決を担ったひとりであり「この問題を解決するために一人ひとりができることはなんなのか」を問いかける重要な役割だったと思います。

合わない合わない言いながら、めっちゃ息が合ってるウリDPたち、本当に大好きだった。


ジュノの家庭環境についてはシーズン1でも2でも描かれている一方で(親父がとんでもないクズ)ホヨルの家庭環境についてには、特に描かれていません。


出典:Netflix

息子が腹を刺されても(たぶん)見舞いにも来ない家族、休暇に帰宅しても誰もいない部屋、黙って引っ越す両親、壁の家族写真、赤いBMW。除隊日をむかえてもすぐに出ていかなかったのは、単にジュノのためだけではなかった気がします。

想像でしかないけれど、ホヨルにとってDPは辛い軍隊生活ではあったけど、孤独ではない自分の居場所だったのかな。


出典:Netflix

しつこいですが、シーズン3はいらない派です。

ジュノがホヨル以外と組んでDPしてるとことか全然見たくないし、ヒョン…チャルガ…(初めてのヒョン呼び!!!)と別れたふたりがその後、会ったのか会わなかったのか、それは視聴者が心のなかで想像すればいいと思います!