この季節が過ぎたら 大人になれるのだろうか?
青春の痛みや輝きが、切なく、まぶしい____
誰もが通り過ぎた十八の瞬間
出典:JTBC
作品情報
原題 열여덟의 순간(十八の瞬間)
2019.7.22~2019.9.10
JTBC
演出・脚本
演出:シム・ナヨン
脚本:ユン・ギョンア
キャスト
オン・ソンウ / チェ・ジュヌ役
『数の場合』『コーヒー飲みましょうか?』
キム・ヒャンギ / ユ・スビン役
『優しい嘘』『女王の教室』『僕たちの復讐ノート』『神と共に』『無垢なる証人』
シン・スンホ / マ・フィヨン役
『A-TEEN』『恋するアプリ Love Alarm』『D.P. -脱走兵追跡官-』
カン・ギヨン / オ・ハンギョル役
『ああ、私の幽霊さま』『恋のゴールドメダル』『ロボットじゃない』『キム秘書はいったいなぜ?』
あらすじ
思わぬ誤解を受け、転校させられてしまったひとりの少年。転校先の高校で新たな試練や初恋を経験しながら、孤独な彼が少しずつ自分の殻を破って成長してゆく。
https://www.netflix.com/jp/title/81211266
感想
とっても良かった~!!!
この季節が過ぎたら 大人になれるのだろうか?
見えているものが世界のすべてに思えた十八の瞬間
青春の痛みや輝きが、切なく、まぶしく表現されていて、控えめながらも洗練された良作だと思います!
※ふんわりとしたネタバレありの感想ですが、直接的にストーリーの内容には触れないようにしました。
好き度🍙★★★★★
(※2022.11 ★4⇒★5に変更しました。どう考えても★5だわ、これ)
この季節がすぎたら 大人になれるのだろうか?
韓国ドラマが好きな理由のひとつが、映像の美しさや美的センスの良さ。
感情を視覚的に表現するのがなぜこんなに上手なのか。
「十八の瞬間」のポスターがすごく良い。
本当にこんなドラマなんですよ!!!(語彙力の限界)
まだ何色にも染まっていない白いTシャツの彼らがまぶしい…!
이 계절이 지나면 나는 어른이 될 수 있을까?
「この季節がすぎれば 大人になれるのだろうか」
누구에게나 한번은
「誰にでも一度は (十八の瞬間)」
キャッチコピーのセンスも良すぎるんだわ
よくある学園もの青春ものとジャンル付けしてまうのはもったいないほど、登場人物の心理が丁寧に繊細に描かれた作品で。
特に印象に残ったのは演出がとてもシンプルなこと。
不要なものをできる限り削って、そいで、残った核の部分だけを表現したような素朴さと繊細さ。
未熟で危うくて、だからこそ美しい青春の瞬間の連続。
凝った演出が全盛期のいま、こんなに素朴なのダイジョブデスカ?と思いつつ、これこそドラマだよな~という気持ちになりました。
複雑に調味された料理もとてもおいしいのだけど、塩コショウだけで食べる極上肉のおいしさを思い出した(なんの話)
「十八の瞬間」が制作されたのは3年前。凝った演出ブームは特にこの2、3年の動きだと思うので、余計そのように感じたのかもしれません。
(2019年は「椿の花咲く頃」や「愛の不時着」「ストーブリーグ」「ハイエナ」など、韓国ドラマ超豊作の年。ちがう時期に制作されてたらもっと注目されてたんじゃないかと思うなど。)
出典:JTBC
韓ドラのOSTにはめずらしく、洋楽やInstrumental(歌がはいっていない音楽)が多く使われてたのも印象的。
こちらの感情を無理に盛り上げてくるでもなく、そっと寄り添うように流れる音楽。演出がほんと控えめでシンプルなんですよ(n回目)
その中で特に耳に残る韓国語の歌声があるんですが、これを歌っているのが主演のオン・ソンウくんというから、たまらん。
小さな扉がひらいて 世界が変わったその日 感じた幸せが自分の全部のようで
全体的に英語やInstrumentalメインのOSTを使っておいて、ここぞという時に ①主演が歌う ②韓国語の ③登場人物の気持ちにリンクした曲をぶつけてくるので、たまらん。
音楽も、演出も、引いてるように見えて大切なところで押してくるのがうまいんだわ。駆け引き上手。恋愛マスター。
出典:JTBC
演出が控えめで、登場人物の心理描写をゆっくり丁寧に描いていく脚本なのでまどろっこしさを感じる人もいるかも。
キラキラした青春というよりも、ヒリヒリとた痛みを伴う成長痛のような青春。
子供の学歴のためなら魂をも売り払うSKYキャッスル展開や、なぜそんなに親の言うこと聞くいい子なのか儒教文化の影響そんなに残ってますか?と理解に苦しむ部分もありましたが、青春の痛みって親の抑圧から生まれる部分も大きいよな~とも思ったり。
普段ドラマを見終わったあとロスになったり、登場人物たちがその後どうなったかを想像することはほとんどないのですが、「十八の瞬間」はしばらく余韻に浸っていました。あの子たちあれからどうなったかな、と。
終わり方が衝撃的で。
本当に「十八の瞬間」だけを描いた結末。
最後にワンカットでも「その後」を見せて終わるのが定石、こんなに想像をかきたてる終わり方もめったにないと思う。
その点でも「十八の瞬間」は脚本が描きたいものがはっきりしていて、心に残る作品になったと思います。
青春学園ドラマの配役としては…
これ、だいたいどのドラマの感想でも言ってますが(笑)
「十八の瞬間」配役がとても良い。
このキラキラしてない青春ドラマを、例えば「女神降臨」のキャスト、チャ・ウヌ、ムン・ガヨン、ファン・インヨプと交換したら…
こんなに良いドラマにはならないと思う。
適材適所。
どっちも好きだよ、女神も十八も。
主演チェ・ジュヌを演じるのは、元WannaOneのオン・ソンウくん。
出典:JTBC
WannaOneはカン・ダニエルしか知らない KPOP 弱弱弱の私。
ドラマ視聴後に初めて彼が元WannaOneであることを知り、PRODUCE 101時代の映像を漁りまくり、物静かなジュヌとのギャプに萌え転がった次第です。
一緒に萌え転がってくださる方は、陽キャver(というか、たぶんこちらが素の)オン・ソンウをご覧ください。
(HEART SIGNのMVです。かわいいよ☆)
⇒[MV] 옹성우 (ONG SEONG WU) - HEART SIGN (Prod. Flow Blow) - YouTube
孤独に慣れきってどこか自分を諦めたようなジュヌが、スビンや先生たちとの出会いによって、少しずつ変わっていく様子が見どころ。
無気力無表情だったジュヌが笑うと、私まで嬉しくなる。
出典:JTBC
ジュヌの、自分にも他人にもなにかを強要しないような性格、悪く言えば無関心、良く言えば相手を尊重するところが魅力だと思っていたので、後半のジュヌはちょっとどうしちゃったの?と思うなど。
オン・ソンウくん、松下洸平みがあって好きなタイプです(聞いてない)
そして、キム・ヒャンギが演じるのは、自分をソウル大学へ入学させようと必死の母に抵抗しながらも、完全に抗いきれない優しい女の子、ユ・スビン。
出典:JTBC
さすが、ヒャンギちゃん。演技の安定感、半端ない。
撮影時期はわからないのですが、映画「無垢なる証人」と今作の公開時期は同じ2019年。
彼女のロマンス演技を見たのは初めてで、見てはいけないものを見ているようでドキドキしてしまいました。(子役出身の子が通る道とはいえ)
オン・ソンウと並ぶとどうしても、顔の大きさの差が気になってしまい…ごめんなさい。いや、これはヒャンギの顔が大きいのではなく、オン・ソンウが顔が小さすぎるんですよ!
そしてそんなふたりの雰囲気が逆に生々しくて良かったです(失言した後に必死にフォローするの図)
ちなみに
ソンウとヒャンギちゃん身長差がけっこうあるなと思ったら
【オン・ソンウ】
1995年8月25日(26歳)179cm
【キム・ヒャンギ】
2000年8月9日(21歳)155cm
【シン・スンホ】
1995年11月11日(26歳)187cm
(年齢は2022.4現在。撮影時期年齢は-3歳してもらえると)
そして、スビンの幼なじみで優等生のマ・フィヨンを演じるのは『D.P. -脱走兵追跡官-』で強烈な印象を残したシン・スンホ。
出典:JTBC
刷り込みって怖いですね。
彼を見た瞬間こいつは絶対悪い奴だ!と本能が叫んでました。
ネタバレになるので詳細は避けますが、マ・フィヨンもまた18歳の尊い時間をすごしているうちのひとりとして描いているのがとても良かった。
個人の考えですが、悪役から大成した人は演技力が高いと思っていて(最近だとハン・ソヒやイ・ハクジュなんてまさにそれ)シン・スンホもこれからどんな演技を見せてくれるのか楽しみです!
とりあえず今は顔が怖く見えるのはしょうがない。
そして、主要な登場人物ではないのですが、とても印象に残ったのがキム・ドワンさんの演技。
出典:JTBC
「九尾の狐とキケンな同居」の感想でも彼の演技力について触れましたが、私はどうやらキム・ドワンの演技が好きみたい。
マ・フィヨンとは違うタイプの嫌なやつなんですが、独特のねちっこさを感じさせる演技がくせになる。
「スタートアップ夢の扉」「九尾の狐とキケンな同居」よりも今作の出演が先なので、この演技が以降の出演作につながったのかなと思います。
陰も陽も、善も悪もできる、かつ個性があるので、これから名バイプレーヤーになっていきそうな予感がします!!!
オ・ハンギョル物語
そして、最後にこの方の話をして終わりたい。
あぁ~この人を想うと心がぽかぽか温かくなる♡大好きなカン・ギヨン俳優様。
カン・ギヨンも最高。
オ・ハンギョルも最高。
オ・ハンギョル役にカン・ギヨンキャスティングした人、最高(泣)
出典:JTBC
オ・ハンギョルがカン・ギヨンじゃなかったら「十八の瞬間」はもっと暗くて重い作品になっただろうなと思うわけです(泣、再び)
「十八の瞬間」は、子供たちの成長物語であると同時に、オ・ハンギョルの成長物語でもあります。決して悪い人間ではないけれど熱意のない教師だったオ・ハンギョルが、ジュヌに出逢い深くかかわっていくことで、教師として、大人として成長していく物語。
私たちに「大人とはなにか」「どういう大人であるべきか」ということを問いかけてきます。
これ、一歩間違えると上から目線で説教くさくなりかねないところを、カン・ギヨンの絶妙な塩梅がきいていて、ほんと絶妙(絶妙って2回言いましたよ)
教師として生徒を導くというよりも、ただ静かに隣で寄り添う姿。
私、教師じゃないけど… こういう親になる!(海賊王になる!のノリで言う)
出典:JTBC
カン・ギヨンの演技の素晴らしいところは、笑えるのに泣ける、泣けるのに笑えるところ。日本の俳優さんでいうと、大泉洋の魅力に近いと思う。
素のカン・ギヨンさんも普段からこんな雰囲気の方なので「十八の瞬間」を見ながら、これはオ・ハンギョルなのかカン・ギヨンなのか…と思う瞬間が多々ありました。
出典:JTBC
〈その他に言い残しておきたいこと〉
・スビンの母親役キム・ソニョンさんのすっぴんの迫力。
寝る時にもフルメークの俳優さんが話題になる中でさすが。それだけでバリキャリのオンマが疲れと闘いながら娘を必死で育てているのが伝わってきて泣いた。塾強要しすぎだけど。
・ジュヌが修学旅行で舞台の上で歌った歌、女神降臨でファンイニョプが歌ってた歌。
・オ・ハンギョル先生の恋愛は…いらんかったんちゃう…?
一瞬ですぎさる青春の輝きや痛みを瑞々しく描いた「十八の瞬間」
今後、折に触れて思い出すようなそんな作品になる気がします。
おすすめです☆