景福宮に行きたい

景福宮に行きたい

삼각김밥은 경복궁에 가고싶다

韓国ドラマ「還魂」感想

歴史にも地図にも存在しない国、大湖国____

魂を入れ変える“還魂術”によってねじれた運命が動き出す


出典:tvN

作品情報

原題 환혼(還魂)
第一部 2022.6.18~2022.8.28
第二部【光と影】2022.12.10~2023.1.8
tvN

演出・脚本

演出:パク・ジュンファこの恋は初めてだから』『キム秘書はいったいなぜ』『真心が届く

脚本:ホン・ジョンウン/ホン・ミラン(ホン姉妹)『美男ですね』『ボクの彼女は九尾狐』『主君の太陽』『ホテルデルーナ』『花遊記』

キャスト

イ・ジェウク/ チャン・ウク役
検索ワードを入力してください』『偶然見つけたハル』『天気がよければ会いにゆきます』『ドドソソララソ

チョン・ソミン / ムドク(ナクス)役
『イタズラなkiss』『赤と黒』『この恋は初めてだから』『空から降る一億の星』『霊魂修繕工』

コ・ユンジョン / チン・ブヨン(ナクス)役
Sweet Home〜俺と世界の絶望〜』『ロースクール』『保健教師アン・ウニョン

あらすじ

盲目の女性の体に宿る、強大な力をもつ魔術師が出会ったのは、名家に生まれたひとりの男。運命を変えたいと願うその男に力を貸すことにするが...。
Netflixより

youtu.be

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感想

架空の国”大湖国”を舞台に、魂が入れ替わる壮大なファンタジー作品。

1部が20話、2部[光と影]が10話の計30話で、韓国ドラマで一般的な16話と比べるとやや長編作品。

演技、演出、美術、CGすべて素晴らしいのですが、特に最後までブレないストーリーと脚本が大好きでした。物語の結末がはじめから決まっていたのがわかる、しっかりと練られた物語で、何度見てもおもしろさを味わえるドラマだと思います。

ホン姉妹作品とは相性が悪いのであまり期待せずに見たのですが、ハマりにハマり、仕事中に表計算しながら還魂のことを考えてしまうほどでした。

毎話とても展開がはやいので感情的に置いていかれそうになります。
一気推奨です!

好き度🍙★★★★★

※視聴済みの方向けの感想です。ネタバレあり。




出典:tvN

鳥の卵を温める弟子と死の淵まで追い詰める師匠

前述したようにわたしは個人的にホン姉妹作品と相性が悪く、イ・ジェウクさんも特別好きというわけではなかったので「ホン姉妹のファンタジー」というぶあつい色眼鏡をかけ、まったく期待せずに見はじめたのですが

ハマりました。それも2話で。

ぶあつい色眼鏡をぶち破る破壊力のあった2話。
2話になにがあったかというと、ナクスの力を取り戻すため、ウクを弟子にして鍛えることを決めたムドクが「生きて戻ったら弟子にしてやろう」とウクに毒を盛り、自分と弟子(仮)を死の淵に追い詰めてウクの気門をあけさせるという名シーン。


出典:tvN

ホヨム先生のおかげで命びろいしてムドクの元に駆け付けたウクの「毒を盛りやがったコノヤロー」と「自分のために命を懸けてくれたはじめての人」と「とんでもない奴を師匠にしてしまった」の入り混じった言葉、「生きて戻ってきました。俺のイカレた師匠め」を聞いた瞬間、もうわたしは完全に大湖国に入国してました。(まだ出国してない)


イ・ジェウクさんがインタビューで大変だった台詞としてこの「俺のイカレた師匠」という言葉をあげていましたが、還魂はこういった印象的な台詞が多くて、その言葉が形を変えながら繰り返し登場しては、登場人物のキャラクターや物語の造形を深めていくという手法がとても印象的。


還魂人の証である青い痕がうつる瞳を人に見られてはいけないと「この距離は俺だけだ」「この距離に入ってもおまえだけは生かしてやる」


出典:tvN


身体に危険が及ぶこともためらわずにやらせる鬼師匠「死に至らない苦痛は結局弟子を成長させる」


出典:tvN


松林の総師パク・ジンに「おまえはチャンガンの息子ではない」と告げられ、もうなにもしたくなくなっちゃったお坊ちゃまにむけて「何もしないなら、ただ死んでしまえ」


出典:tvN

目的を果たすためにはいかなるものを犠牲にしてもやりとげるムドク(の正体であるナクス)の芯の強さを感じさせる言葉たち。ナクスが刺客ナクスになるまでこうやって生きてきたんだなってナクスの人生を考えてしまう。

その言葉は弟子のウクだけに向けられたものでなくて、自分自身にも常にむけられていて「何もしないならただ死んでしまえ」と自分を鼓舞し激励し続けてるわけです。ムドクのこのまなざしが本当に大好きだった…


出典:tvN

ムドク役は当初別の俳優さんが演じる予定だったところ、紆余曲折ありチョン・ソミンが演じることになったのですが、ムドクのかわいらしさや愛嬌、ナクスの芯の強さやオーラ、その両方を表現できる天才的な表現力でめちゃくちゃ感動させてくれたチョン・ソミンさん、永遠に大好きです。


いつもチャン・ウクを危険な目に合わせるが、その対価としてかならずウクの望みを叶えるムドクの激しさは、凡人の私には理解しがたいところもあり、特にウクとわけあった陰陽玉を世子との賭けに差し出した時は、ムドク…いや、ナクスさん…さすがに残酷すぎる…と絶句しました。
いや、一度は絶句したんですけど、ストーリーをわかって見た2周目では胸が痛いほどムドクの気持ちがわかってしまい(涙)


出典:tvN

あの大きな木の上で見た鳥の卵のように自分を隠し守ってくれるウクへの感情は、それは明らかに恋なのだけど、そんな解毒剤のない毒に侵されている場合ではなくて。


出典:tvN

ウクとわけあった陰陽玉は、嘘偽りなくナクスとして生きた人生の中でもっとも大切なものなんだけど、それを賭けてまでウクを修業に向かわせようとするムドク。自分自身に「死に至らぬ苦痛」を強いても絶対に力を取り戻すという執念。執念というかナクスとしての自分を捨てきれないっていう。

ウクもそれがわかっているから「いつかあの木の上に連れていく」っていう約束がふたりを強く結びつけるわけです(あ…また目から汁が…)


出典:tvN

そこまでしてでも絶対にナクスとしての力を取り戻すと、動き、動かし続けてきたムドクを私は知っているから。

すべてを捨ててただのひとりの女性としてウクの側で生きることを決意したムドクに、ムドクの穏やかなこの表情に、胸がいっぱいになってふたりがずっと幸せでいてほしいって心底思ったわけ。


出典:tvN

ムドクの憑き物の落ちたような顔。

チョン・ソミンちゃんほんとにかわいい…



それがまさかこうなるとは思わへんやん?


出典:tvN

ウクの胸を貫いたナクスの刀をムドクが抜こうとした瞬間、腕をひいて抱き寄せるチャン・ウク。


再びウクの胸に深く刺さる刀。


血を吐きながら倒れるチャン・ウク。



出典:tvN

ちょっともう脳内が追いつかない。

ムドクのあの幸せに満ちた表情との高低差で三半規管がぶっ壊れそう。



これをシーズン1の最終回ラスト数分で我々に見せて、続きは3か月後シーズン2で会いましょうって制作陣さすがにドSが過ぎませんか?


出典:tvN

石化するムドクを抱きしめて、ムドガァ…ムドガァ…って呼んでるウクの声が耳に残って、私はS2までの3か月間苦しみました。

S2【光と影】では松林での惨劇から3年後を描いていますが、私にとってもS2配信までの3か月はほぼ3年だったので、大湖国の人たちと同じ時間をすごしたと言っていい思います。



お坊ちゃま成長記

ここですぐに【光と影】のことについて書きたいところですが、これまでムドクのことしか書いてないので、ちょっとウクのことも書きたい。


還魂という物語は、気門をふさがれ何者にもなることを許されなかったチャン・ウクが、ようやく生涯の師匠を見つけ運命を切り開いていく成長譚でもありますが、成長していくウクの様子をイ・ジェウクの表情演技はもちろん、衣装や髪型などでも魅せているところも好き。

S1だけ見ても、初めと最後のチャン・ウクの雰囲気が全然ちがう。

気門をふさがれ、足を川で冷やしただけでぶっ倒れていたちょんまげのチャン・ウクお坊ちゃまが


出典:tvN


はじめはもう「かわいい」しかないお坊ちゃまだったチャン・ウクが


出典:tvN


ムドクを師匠とし気門が開き、動き出した運命をムドクと共に歩みはじめて


出典:tvN


「私は…断根されてしまったのでしょうか…」なチャン・ウク


出典:tvN


ユルの肩に頭をのせるムドクをじっと見つめるチャン・ウク(よく見て…?背後に…)


出典:tvN


「俺以外のやつに教えるなんて浮気だかんな」と駄々をこねるチャン・ウク
(ねぇ 修業して???)


出典:tvN


世子との対決と糞ムドクの誕生
(ダチョウ倶楽部の爆誕)


出典:tvN


ナクスの弾水法で還魂人を切るチャン・ウク(もうヘタレ坊ちゃまとは呼ばせない)


出典:tvN


鳥の卵を大切に温めるチャン・ウク(ちょんまげとの決別)


出典:tvN


死に淵まで追いやられながらこれまで築き上げてきた力。それを失ったとしても氷の石でできた結界を破ると決めたチャン・ウク。
ムドクと出会った時とは、顔つきも眼差しの強さも全然がう。


出典:tvN



そして、愛する人の手にかかって死に、氷の石の力でよみがえったチャン・ウク。



出典:tvN


望まぬ力で蘇ったウクとムドクの最期を思うと、ふざけあっていたお坊ちゃまと侍女だったふたりがいっそう愛おしくて泣きそうになる。

S1のチャン・ウクを思い出すと、いつもムドクにじゃれついてたウクばっかり思い出しちゃうんですよね…

そしてチャン・ウクがムドクを失ったように、私たちはチョン・ソミンちゃんを失ったのでした。

俺はあの時死ぬべきだった【光と影】




出典:tvN

こうしてムドクと共に敬天大湖の底に沈んだ私は、3年のあいだ暗い湖の底でムドガァ…トリョンニム…と泣き暮らしたわけですが、2022年12月に第二部【光と影】がはじまっても私は湖の底から動きませんでした。

S2は絶対に一気に見たいという願望があり、かつ、こっちは3年(3か月)も待ったんですよ?これ以上毎週Netflix配信日を待つなんて無理でしょうが…と。
その昔チャン・ウクが初めてムドクの目に還魂人の青い痕を見つけた時の「一目で気づいた。俺の師匠」からもう一度見返して地獄を再体験しながら、その時を待っておりました。


そして2023年、いよいよ大湖国に帰ってきた私を待っていたのは

正視できないくらい爆イケのチャン・ウク坊ちゃま…

あ…無理…好き…


出典:tvN

爆イケのウクの写真を探すのにたくさんありすぎて選べなくて、これがいいかな~こっちのがいいかな~ってチャン・ウクの写真見てるだけで今30分が一瞬で溶けたんですけど…永遠に見てられるよ…闇落ちした坊ちゃま…


ムドクを失い、還魂人を狩る以外は「何もしない」と心に決めたチャン・ウク。

ただ還魂人を狩るだけの不吉で狂った怪物となり、氷の石に近づいてくる鬼気たちだけがお友達という孤独な日々を耐えていた。

ちなみに迷ったお写真のうちひとつがこちら。還魂の衣装チームが優秀すぎて頭抱えてる。


出典:tvN

闇に同化しているかのような黒の衣装。
切りあがった袴(?)の裾が新選組の袴にも似て、還魂人を斬るためだけに生きてる感がすごいの。

蛇足ですが、これは万長会からチン・ブヨンを助け出すため(神力があればの条件付き)ウクがあらわれるシーン。暗闇の中からあらわれたウクの持つ光は、チン・ブヨンにとって軟禁生活から救い出してくれる光そのもの。
坊ちゃまがムドクを隠し守ったみたいに、また歴史が繰り返されるんだと思わせてくれるS2では大好きな場面のひとつです。


(話を元に戻して)
還魂人を斬った夜は、氷の石に集まってくる鬼気と寒気を退けるためにひとり自室で強い酒を飲むのが習慣なのですが、酒を飲むチャン・ウクがほんとにほんとに尋常じゃなくセクシーで死にそう。


出典:tvN

何も考えず、何もせず、3年前から死んだように生きているチャン・ウクの悲哀や苦しみ、美しさ、美しさや美しさ、そして美しさが酒によって引き出されてて、ウクが酒を飲むたびに私はちょっと平常心ではいられなくなります。私にも強い酒をくれ。

この孤独の象徴だった強い酒を、死ぬために連れてきたチン・ブヨンが一緒に飲んでくれるのがまた良い。ウクがブヨンを暗闇から救ったのと同じで、ブヨンもウクを孤独から救ってくれる存在になるわけ。

酒、ほんといい仕事する。

「何もしない」と決めたチャン・ウクから氷の石を取り出して死なせてくれる唯一の人物が「何もしないなら死んでしまえ」と言った師匠なのもエモい。還魂ほんとに脚本がすごいのよ。


心配されていたヒロイン交代については、個人的にはまったく違和感なかったです。(正確にはヒロインの顔が代わっただけでヒロインはずっと同じなのだけど)


出典:tvN

ブヨンの天真爛漫さやかわいらしさにムドクっぽさを感じたし、肩に縫い付けられた妖糸の痛みに耐えながらの「死に至らない苦痛は結局わたしを自由にする」はナクスだったし。

そしてなにより、コ・ユンジョンがかわいすぎた。


出典:tvN

ムドクのことを「これしきの顔」などとディスってたナクスさん、これほどの絶世の美女だったのね…と妙に納得してしまったわ。

ストップサインの火を消そうとフーフーしてるブヨンもかわいすぎたし、伝わらないとわかっていながら言えなかった好きの気持ちを言葉にするブヨンに泣きました。

チョン・ソミンのすごすぎる演技を引き継いだコ・ユンジョンのプレッシャーは大変なものだったろうなと推察しますが、イ・ジェウクとのケミも最高だったし、ウクとヨンの物語をきれいに仕上げてくれて本当にありがとうございましたという気持ち(おま誰)


出典:tvN

第二部はウクとブヨンのロマンスが中心で、お互いが自分を救い出してくれる存在になっていく様子を見守りながら、ウクはブヨンの正体に気づくのか?!を楽しむ感じ。

第一部の印象的な言葉が次々と回収されていく総仕上げ感がありました。

ウクが初めて青い目の痕に気づいたあの日からずっと見守ってきた立場としては、最後にナクスの記憶を思い出したヨンに、もっとナクスっぽさが欲しかったかも。無謀で、賭けに出るような、死に至らぬ苦痛で望みを叶えるような、そんなヨンが見たかったです、それもコ・ユンジョンの姿で。


出典:tvN

とはいえ、最高のケミでときめきをくれたウクとヨン。

職人技を見せてくれたキスシーンも。

本当にこのふたりが大好きでした。


ここまで7000字くらい書いたけど、このふたり以外のこと一切書いてないの。それぐらいこのふたりが大好きだった。

最後に

最後は、ウクとヨン以外のことをちょっと書いて終わりにします。

はじめに書いたとおり、還魂は印象的な台詞の積み重ねと対比が印象的なドラマなので、その繰り返しがくどく感じてしまうとしんどいドラマかなと思います。その様式美みたいなものが私に合ったのかなと。

松林総師パク・ジンが敬天大湖で放った氷の弓がナクスに刺さり物語がはじまり、同じ場所でウクが射た氷の弓が物語を終わらせる。これを様式美と言わずなんという。


出典:tvN

物語の結末がはじめから決まっていたのがわかる、骨格のしっかりした物語にはそれだけでパワーがあります。

細かいところではご都合主義な部分もけっこう…だいぶ…なかなかありましたが、それを大きく上回る魅力がありました。


細々した言いたいことをいくつか挙げると

・展開がはやすぎるので奇皇后とかみたいに50話くらいにしてほしかった。特に最終2話の店じまいが大慌て。夜逃げレベルの片づけ方。

・視聴者をハラハラさせるためだけの演出は逆に冷めるのでやめてください。

・ユルはなんで血虫の痛みを3年間我慢し続けたのか。自分に与える罰のようなもの?

・イ先生の後出し情報ズルい。

・亀さん全知全能すぎ。

・ヨン以外すべての還魂人が始末されたはずだが、実はまだイ先生が残ってる。

・ホヨル先生の孫娘ユノク好きだったのに、なんで悪者にしちゃったの。

・ウクが還魂した先王の息子なら、ブヨンが産む娘はヨンの娘になると思うけど、鎮妖院の神力は受け継がれるの?ママすごく期待しちゃってるけど大丈夫?



中年のうぶな恋愛で笑わせてくれたパク・ジン×キム・ドジュ夫妻、さんざん笑わせといて例え話が現実になった最後に泣かされた。熱い涙をありがとう。


出典:tvN


イ先生はこれからも元気に断根しつづけてください。それと、これからは大切なことは初めに言うように。


出典:tvN


ウクとの熱いブロマンスを見せてくれた世子様ありがとう。これからも夫婦の愚痴を両方から聞かされていてほしい。


出典:tvN


大湖国の癒し、チョヨンタング夫妻ありがとう。血走った眼をした術士たちに囲まれてここまで柔らかさを保つなんて並大抵ではない気力。これからもずっとぽわぽわしていてください。


出典:tvN


ソ・ユル、ありがとう。幸せになれ。


ソイ、悪い女の一途な恋心をありがとう。ソイはどこかで一歩踏み出しさえすれば幸せになれるチャンスがあったと思う。


出典:tvN


そして、チン・ム。
おまえは全然ありがとうじゃないけど、チンムを演じたチョ・ジェユンさん、どんどん悪くなっていく目つきとアイメイク、最高でした!!!


出典:tvN


いつかあの木の上に連れていくという約束を守ってくれたチャン・ウクありがとう。

ひ弱な坊ちゃまから無敵の術士まで、ウクを最後の最後まで演じきったイ・ジェウクさんの気迫の演技、プロ魂を感じました!


出典:tvN

イ・ジェウクさん、次回作選びがむずかしくなっていくでしょうが、しっかり作品選んで演技派俳優の道を爆走してほしい。



長くなりました。
最後まで読んでいただきありがとうございました🍙