ある日突然お尻を触るとサイコメトリーができるようになった獣医と
ソウル広域捜査隊へ復帰するためその能力を利用しようとする刑事
凸凹なふたりが犯罪のない村で起こった事件解決に奮闘するコメディサスペンス
出典:JTBC
作品情報
原題 힙하게(ヒップに)
2023.8.12〜10.1
JTBC
キャスト
ハン・ジミン / ポン・イェブン役
『イ・サン』『屋根部屋のプリンス』『知ってるワイフ』『ある春の夜に』『まぶしくて』『私たちのブルース』
イ・ミンギ / ムン・ジャンヨル役
『がんばれ!クムスン』『タルジャの春』『この恋は初めてだから』『僕が見つけたシンデレラ』『みんなの嘘』『私の解放日誌』
スホ / キム・ソヌ役
男性アイドルグループEXOのリーダーでリードボーカル。
あらすじ
田舎町で発生するさまざまな事件に力を合わせて挑む、超能力者の獣医とひとりの刑事。だが恐ろしい連続殺人の謎解きをきっかけに、その能力を試すような事態に巻き込まれていき...。
Netflixより
感想
ある日突然お尻を触るとサイコメトリーができるようになった獣医と、ソウル広域捜査隊へ復帰するためその能力を利用しようとする刑事が、犯罪のない村で起こった連続殺人事件を解決に奮闘するコメディサスペンス。
メインストーリーはブレーキのぶっ壊れた暴走車なのに、笑いについては細部にまでこだわりを感じるという謎バランスのドラマでありました。
要点を簡潔に申し上げると
・ふわふわもふもふの動物さんたちに癒やされるヒーリングドラマではない
・2521ならぬ5551
・オンニ〜ッ!!!
・触れ!いいから はやく触れ!
・ポンコツだけどかわいいハン・ジミンとポンコツだけどかっこいいイ・ミンギ
といったところでしょうか。
好き嫌いのわかれそうな癖ありドラマ。
「美男堂の事件手帖」などが好きな方におすすめです。
好き度🍙★★★☆☆
※ふんわりとしたネタバレのある感想です。後半はストーリーの内容に触れています。
HIPに
好き嫌いがわかれると書きましたが、じつは私は第2話まで見て時点で「これは苦手かも…」となりました。
とにかくね、笑いの癖が強い。
しょっぱなから全力でドラマ「二十五十二一」のパロディ(笑
それも2521(25歳21歳)ならぬ5551(55歳51歳)
まったく見目麗しくない♡
出典:JTBC
はじめは苦笑いで見ていたのですが、けっこう長い時間をこのパロディに割いているため、次第に、2521を見ていなかった人たちはこのパロディを楽しめているのだろうか…という誰目線な不安を感じてしまいました。
そんなことお構いなしでやりたいからやるんだ、おもしろい人だけが笑えばいいんだという思い切りは一周まわって清々しいほど。
出典:JTBC
2521以外にも、私の解放日誌や有名ドラマのパロディや有名台詞をねじこむねじこむ!韓国ドラマ好きにはおもしろいと思うんだけど、それがパロディだとわからない層にはなんだこれなドラマだったと思います。
원작을 삼켰다가 뱉어내는 패러디의 향연
— Netflix Korea|넷플릭스 코리아 (@NetflixKR) 2023年10月1日
#힙하게 #BehindYourTouch pic.twitter.com/rhFVexFuB9
大型パロディ劇場以外にも、オッキの配下の兄「オンニー!!!」など、かなり癖強めな笑いを連発。
もうお腹いっぱい…となってもなお繰り出される連続技。
しかし、じつに不思議なことに、これだけ笑いのパンチを浴び続けるとなんとなく笑えてくるのはなぜなんでしょうか。パンチドランカー的な症状とでもいいましょうか。笑い袋で笑っちゃうやつに似てます。
なんていうのかな…
くさいとわかっている靴下のにおいをなぜかかぎたくなっちゃうやつ。あれです。
出典:JTBC
個人的には、他人のお尻に許可なくこっそり触ろうと奮闘するというのが、これ笑っても良いのか?倫理的に笑いにしちゃってOK?という壁を超えられなかったのも心の底から笑えなかった原因かなと思います。
私の好みとしては、大型パロディなどよりも
・蛇のお尻はどこなのか
・権力に腰を90度にするムン刑事
・街中の人間の尻をかたっぱしから触っていく馬鹿らしさ
・脚VS尻、絶対触らせずに絶対触る対決
・目をつぶって刺せるか実験
・ハン・ジミンの明太子(これは一生笑える)
などささやかな笑いのほうがジワジワきておもしろかったかも。
出典:JTBC
原題は「힙하게」
直訳すると「ヒップに」
お尻のヒップとHIPをかけた原題が「ヒップタッチの女王」ひと昔前の韓国ドラマみたいにされちゃって…と思っていたのですが、視聴後に思うに、ノリ的には方向性まちがえてなかった気がします。
まぁ…女王ってなんやねん…女王って誰のことやねん…とは今も思いますが…
ラップ系HipHopを多用したOSTもドラマの雰囲気にあっていて印象的でした。
出典:JTBC
今作、主人公ふたりがじつに頭の足りてない感じで、フラストレーションたまった方も多かったんじゃないでしょうか。私はだいぶたまりました。フラストレーション貯金があればちょっとした小金持ちです。
カタルシスがまったくない、ノーカタルシスドラマでございました。
出典:JTBC
自由気ままに行動して事件と遭遇しまくるコナン体質のポン・イェブン。
ちょっとぶりっ子ぽい動きや言動もハン・ジミンだからかわいいけど(いや めちゃめちゃかわいかったけどね?)ほかの女だったらお前ちょっと表出ろ案件で、それから君ちょっと、八つ当たりはやめなさい。
年齢のことはあまり言いたくないですが、ハン・ジミンさんもう40歳なんて信じられない可愛らしさ。お肌信じられなくらいつやつや。むきたての茹でたまご。
そして、自分の考えに固執するムン刑事、刑事ものドラマとしてはあり得ないくらいできない刑事でびっくりしました。今後はあいつが犯人だと決めつけず、あらゆる可能性を排除せずに捜査してもらいたい。
喧嘩は強くて良かったのと、ただひたすらイ・ミンギがかっこよかったです。
出典:JTBC
「僕が見つけたシンデレラ」の感想でも書いたのですが、個人的にイ・ミンギさんの感情を表に出さない系のキャラが苦手で、これまでいちどもイ・ミンギさんのことをかっこいいと思ったことなかったのですが。
気づいてしまいました。
イ・ミンギはかっこいい
間違いのない宇宙の法則、イ・ミンギは男前。
なぜこんな当然のことに気づかずに今日まで生きてきてしまったのか。
私の解放日誌のチャンヒの中の人とは思えない色気。
この色気を隠してチャンヒになりきっていたとは…くぅ…
個人的にはこれまでのミンギさんの出演作の中でいちばん好きなキャラだったかも。全作品見たわけではないですが、彼のかっこよさに気づかせてくれたという点においては偉大な作品となりました。紳士的な男よりもちょっと粗雑な男に惹かれてしまう私の好みの問題かもしれません。
最終回ではイ・ミンギさんの異次元のビジュアルにネットが一時騒然としましたが、個人的にはあの最後の、例の、制服の、あの少女漫画的な登場は絶対コメディ狙いだったと思います。なのにミンギさんがあまりに素敵すぎてただただかっこいいイ・ミンギ登場シーンになってしまったという。
出典:JTBC
前半の自己中ぶりと最後の少女漫画風の差がすごくて笑うしかない。
楽しく見る作品
※ここからはストーリーの核心に触れています。
初めにも書きましたが「ヒップタッチの女王」は力のはいったコメディ部分と、勢いで突っ走っていくメインストーリーのバランスがじつに不思議なドラマでした。
2521のパロディはとても詳細に場面復元されているのに、メインストーリーでは重要な伏線が回収されていなかったり、静かな街でたくさんの人が殺されたのに犯人に特段これといった背景がなかったり、EXOのリーダーをあっさり殺してしまったり(スホファンの悲鳴が聞こえた気がした…幻聴…)
キム・ソギュン監督や主演のイ・ミンギさんがインタビューで何度も「楽しく見れる作品」という言葉を使っていますが、伏線回収や犯人の特別な事情とか、考察、深掘り、そういうものはそっちのけにして、ただただ笑えるエンタメ作品を作りたかったんだろうなと。
誰が犯人なのかわからない、全員が犯人に見えるサスペンスだけど、考察っていうより、誰が犯人でしょ〜かといったクイズの雰囲気。
まぁそうは言いましても、イェブン母の死とソヌ母の失踪、チャ・ジュマン議員の不正についてきちんと解明されず空中分解したのは正直すっきりしないものがありました。
おそらくソヌ母もイェブン母もチャ議員によって始末されたと推測ができますが、そのチャ議員が無差別殺人魔である村人に殺されるなんて、犯罪のない村ムジンが聞いてびっくりです。
もっとすっきりしないのが、おじいちゃんのイェブンに対する冷たい態度。
そして、イェブンの母でもある娘を殺したのがチャ議員だとわかっていたにもかかわらず選挙活動を手伝って親しくしていたのは、証拠を探すためだったとしても実に解せないものがありました。
出典:JTBC
そのあたり、おじいちゃんの意図をはっきりさせてほしかったのに。
イェブンさん、せっかくムン刑事のはからいで病室に入れてもらったのに、泣くのもいいけど早く尻を!尻を触れ!と画面の前で叫ぶ私の願いむなしく、ノータッチのままおじいちゃんお亡くなりに。
そしておじいちゃが亡くなったときに、もっとはやく触ってみるべきだった、心の中をのぞいてみるべきだったと後悔したにもかかわらず、グァンシクおじさんが瀕死の状態で動物病院までやってきたときのイェブンさん、またノータッチのまま見送ってしまうわけですよ!!!
は や く さ わ れ ! ! !
グァンシクおじさんもグァンシクおじさんで、ダイイングメッセージで、ブラック画面の秘密がどうのこうのと遠回しに言わずにズバッと誰が犯人が言えばいいんじゃないでしょうか!?
一周まわってこれもコメディなんでしょうか…
ほんと実に不思議なドラマでありました。
そして最終的にはイ・ミンギのビジュアルですべてをまるく収めるという荒業。
出典:JTBC
最終的には、イ・ミンギのビジュアルとハン・ジミンの明太子が最後全部持っていったような最終回でありました。
最後に、突然転校してきた子と ”母の昔の友達の娘”という理由だけで無条件に親友になっちゃう町の奇人ペ・オッキ。
悪いやつにやられたら仕返ししてやり、子分たちを招集してやり、傷心の時はそばにいてあげて、遠くからでも見守ってあげて、たぶんオッキが村でいちばんの良い人な気がしました。あれだけの人数の子分が理由も聞かずにオッキのために(正確にはオッキの親友のために)集まるとか、どんだけ人望あるの。
出典:JTBC
ペ・オッキを演じたチュ・インギョンさん。
「ある春の夜に」でのハン・ジミンの妹役や「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」でソン・イェジンと一緒に済州島でカフェをひらく後輩役が印象に残っていますが、今回のオッキ役はしばらく記憶に残りそうです。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました🍙