景福宮に行きたい

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韓国ドラマ「他人は地獄だ」感想 閲覧注意 イム・シワン&イ・ドンウクの怪演

イム・シワン除隊後最初の出演作

その考試院が地獄の始まりだった__

閲覧注意なサイコスリラー
心身ともに健康な状態での視聴をおすすめします


出典:OCN

作品情報

原題 타인은 지옥이다(他人は地獄だ)
2019.8.31~2019.10.6
OCN

演出・脚本

演出:イ・チャンヒ『死体が消えた夜』
脚本:チョン・イド『君を守りたい~saveme~』

キャスト

イム・シワン / ユン・ジョンウ
『太陽を抱く月』『ミセン~未生~』『王は愛する』『それでも僕らは走り続ける』

イ・ドンウク / ソ・ムンジョ
『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』『ライフ』『真心が届く』『九尾狐伝』

イ・ジョンウン / オム・ボクスン
知ってるワイフ』『まぶしくて -私たちの輝く時間-』『パラサイト 半地下の家族』『椿の花咲く頃』

あらすじ

大学の先輩が起業した会社で働くため、地方から上京したジョンウは、町外れにある古びた考試院(コシウォン)に入居するが、住人たちは奇妙な人間ばかりだった。無遠慮な大家を筆頭に、奇妙な笑い方をする坊主頭の男や、独り言ばかりのタンクトップ姿の男など…その中で歯科医のムンジョだけが、ジョンウの気を許せる唯一の相手だった。しかし職場でも上司との関係がうまくいかず、次第にストレスを溜め込んでいくジョンウ。やがて住人の失踪をきっかけに、ジョンウは考試院に潜む恐ろしい“悪”と対峙し、自らが“地獄”の真ん中にいることを悟るのだった――ジョンウはこの“地獄”を抜け出すことができるのか!? 最後に待ち受ける衝撃の結末とは!?
「他人は地獄だ」ドラマ公式サイトより


www.youtube.com




感想

好き度🍙★★★☆☆

上京してきた青年がとりあえずの住まいに選んだ古い考試院。
奇妙な住民たちに囲まれ、誰もいないはずの階から物音が聞こえる…
青年は徐々に不安と緊張に追い込まれていく_______。


大人気WEB漫画原作で、韓国ドラマにはめずらしい純粋なサイコスリラー。

ホラー映画をぶっ通しで見ている感覚で、イム・シワンが透明感と爽やかさを完全封印して挑んだ作品です。

イム・シワンが除隊後最初の作品にこれを選んだときは、純粋で一生懸命といったこれまでのイメージを一新させる目的での作品選びだと思ったのですが、予想以上にちがう姿を見せていて、イム・シワンの演技力の高さを再確認しました!

(ずっと除隊を待っていたファンに最初に見せる作品がコレというのは、やや変態性を感じさせますが)

「他人は地獄だ」をひとことで表すと不快と不安。

猟奇的なシーンは閲覧注意です(生肉と歯がトラウマに)

しかし残虐なシーンはあるものの、スリラーとしての怖さもそれほどでもないのに、なぜこんなにも「不快」になるのか。

今回は「他人は地獄だ」の不快さについて書いていきたいと思います。

※ふんわりしたネタバレになる内容です。


閲覧注意①不気味

地方から上京してきた主人公ジョンウ(イム・シワン)は、より安い住まいを探すためにあちこちに電話をかけた末、ソウル最安値の考試院「エデン考試院」を見つけます。(考試院(コシウォン)とは元々は受験生の勉強部屋として利用されていた簡易宿泊施設のこと)


出典:OCN

恐ろしく狭い部屋とカビの匂いに躊躇するものの、家賃の安さから入居を決めてしまうジョンウ。

壊れて首のまわらない扇風機。
窓の隙間からわずかしか入らない陽の光。
彩光を落とした映像からは、まとわりつくような夏の暑さカビ臭い匂いが漂ってきます。


出典:OCN

考試院に住むのは奇妙な住民たちばかり。

特に考試院の大家のおばさんが不気味すぎる。
演じるのは「パラサイト 半地下の家族」で家政婦役を演じたイ・ジョンウン。


出典:OCN

イ・ジョンウンさんの得体の知れない役、本当に大好き。
今作もパンチパーマと大阪のおばちゃんファッションがファンクで良い感じに不気味さを演出していました。


そんな奇妙な住民たちの中で唯一まともに見えたのが歯科医のムンジョ(イ・ドンウク)ジョンウになれなれしく近づいて距離を縮めてくるムンジョだったが…


出典:OCN

私は今作のイ・ドンウクが意外と好きで(変態なのかな)
見てくれこの蒼白すぎるお顔を(ほぼ死神)


出典:OCN

理由も経緯もない純粋な悪がイ・ドンウクの神秘的な魅力と合っていて、悪の教典の伊藤英明にカリスマ性を足したような雰囲気。


出典:OCN

このコンビ、不気味さが2倍でドン!!!


ホラーが苦手な方向けにどのくらい怖いかと言うと、ほぼ怖くない!(ほんとか?)猟奇的な描写が気持ち悪いと感じるシーンはたくさんありましたが、怖いと思った場面はほとんどありませんでした!

(筆者のおにぎり🍙はソンガン主演の怪物ドラマ「SweetHome」が大好きなので、参考にならないかも知れませんwww 以前はホラーがだめだった私ですが、鍛えに鍛えられて最近ではお菓子ポリポり食べながら観られるほどにレベルアップしました)


閲覧注意②不快

このドラマの良いところ(嫌なところ)は、視聴者を怖がらせようとはしないけれど、全力で不快にさせようとしてくる点。

グロい描写や不安をあおる演出はもちろん、すべての感情を切り捨てて負の感情だけを一心不乱に描写する徹底ぶりがすごい。

どんなホラー映画にも心温まるストーリーや設定があります。「新感染」ならコンユと娘の親子の関係、「キングダム」なら世子の成長など。

「他人は地獄だ」では、複雑な人間関係やストーリー展開はまったく描かれません。

そういうものを意図的に可能なかぎり排除して、純粋な負の感情のみを煮詰めたエキスみたいなドラマに仕上げていて、こんなドラマは他にないわ~と、とっても嫌な気分になりながら感心しました。

考試院の奇妙な住民たちはもちろんのこと、それ以外の登場人物たちもいつも視聴者を全力で「不快」にさせます。

先輩社長の虚栄心、彼女のイラだち、同僚の嫉妬など。
人物像の描写もそこそこに、もはや負の感情を供給するために作られた不快製造機と言っても過言ではない登場人物たち。


猫が惨殺される事件から考試院の不穏な様子に気づく若い警察官の女性が登場します。(演じるのは、賢い医師生活のチュチュミナ先生ことアン・ウンジン)


出典:OCN

この地獄から救い出してくれるの唯一の希望のような存在。

まちがいなく視聴者全員がミナ先生たのむ!!!(ミナ先生ではない)という気持ちで彼女を支持していたはず。

この警察官が家で家族と過ごすシーンで妙に記憶に残ってるシーンがあります。

警察官の祖母は認知症で孫を孫だとわからないのですが、「どちら様?」と首をかしげるおばあさんの膝に若い警察官が頭乗せ、なんとも言えない切ない表情でハルモニぃ〜と甘える切ない場面がありました。

ワンシーンだけなんですがなんとも悲しくてざわざわした気持ちにさせられ、わざわざこのシーンをいれた脚本の意図を考えると、希望の光のようなキャラクターにまで…おまえ…そこまでやるのか…とカイジ並みに心がざわつきました。

一部の隙もないほど、どのシーンも負の感情でうめつくされ、完璧なまでの「他人は地獄」な世界観でした。


もっと知りたい!韓国TVドラマ(vol.89) (MEDIABOY MOOK)



閲覧注意③他人は地獄

※ここからはストーリーの核心に触れています。




さらに、視聴者を不安にさせるのは主人公のジョンウ本人。

さきほど新感染やキングダムを例にあげましたが、両作品などのホラー映画を視聴する時、たいていの人は主人公の立場になって一緒にゾンビから逃げながら視聴すると思います。

しかし「他人は地獄だ」のジョンウは一緒に逃げるには危なすぎて、とても同じ立場にたって逃げる気になれない。


出典:OCN

1話を見た時から、ジョンウがイム・シワンっぽくない男くさいキャラクターだなとは思ったのですが、心の中で軽く悪態をついていたのが徐々にエスカレートしていき、募らせた鬱憤を妄想の中で爆発させる姿になんともいえない不安を感じ始めます。

回想なのか妄想なのかわからない軍隊でのシーンがしきりに挿入され(なにかトラウマになるような事件があった?)ジョンウが自分の中にある凶暴性に気づいているけど気づいていないふりをしているような。


出典:OCN

「自分は考試院のやつらとはちがうんだ」と思いながらも、自分の凶暴性に気づいているジョンウ。

ジョンウが怖がっているのは考試院の住民であると同時に「自分も考試院のやつらと同じかもしれない」ということ。

妄想で終わっていたジョンウの爆発が徐々現実になっていきますが、それが考試院で限界まで追い詰められたせいなのか、本来ジョンウが持っていた凶暴性なのか。

本当の地獄は他人ではなく自分なのではないか。

「他人は地獄だ」というタイトルの写し鏡になっていて、ただのサイコスリラーでは終わらないものがあり、このあたりが大変見ごたえがあったと思います!


恐怖と狂気が入り混じった表情や、徐々に目つきが変わっていくイム・シワンの演技が素晴らしくて、大人気ウェブ漫画の実写化というプレッシャーの中でこの作品を選んだのは正解だと思いました。
(ただ作品がニッチすぎて元来のイム・シワンファンたちには心中お察しいたしますという気持ち)


出典:OCN

悩んだのは★の数…
作品の完成度はとても高いと感じたのですが、★の基準をただ「好きかどうか」にしているためこの不快指数2000%のドラマを好きとは言いづらく。
★は4と迷って3することにしました。

脚本、演出、演者さんたちの演技から世界観まで作品の完成度は高いと思います。

グロ耐性のある方は「不快」覚悟でぜひ見てみてください!