シン・ヘソン × キム・ミョンス 主演
愛を信じないバレリーナと天使のファンタジーロマンス
出典:KBS
作品情報
原題 단, 하나의 사랑(ただひとつの愛)
2019.05.22 ~ 2019.07.11
KBS
演出・脚本
演出 : イ・ジョンソプ『七日の王妃』、ユ・ヨンウン
脚本 : チェ・ユンギョ『運勢ロマンス』
キャスト
シン・ヘソン / イ・ヨンソ役
『ああ、私の幽霊さま』『彼女はキレイだった』『青い海の伝説』『秘密の森』『黄金の私の人生』『30だけど17です』『死の賛美』『哲仁王后』『サムダルリへようこそ』
キム・ミョンス (エル) / キム・ダン役
『仮面の王 イ・ソン』『ハンムラビ法廷』 『暗行御史:朝鮮秘密捜査団』
イ・ドンゴン / チ・ガンウ役
『パリの恋人』『七日の王妃』
あらすじ
‶人間の生死に関わった天使は消滅する“という掟を破った天使ダンは罰としてあるミッションを与えられる。それは愛を信じられなくなった人間に愛を教えること。人間の姿になった天使ダンは心を閉ざしたバレリーナ、イ・ヨンソのもとへ派遣される。
感想
人間に愛を教える任務を与えられた天使 × 愛を信じられない人間の純愛ロマンス。
天使との恋ねぇ…
ファンタジーは苦手ではないのですが。
宇宙人との恋、人魚との恋など、架空生命体と人間とのロマンスにハマれない体質なのがわかっているので、今回も天使との恋か…とあまり期待せずにみたのですが
泣きました。
天使との恋ねぇ…と冷めた自分がいる一方で、ボロボロに号泣している私。
この矛盾はいったいなんなのか?
ドラマの感想というより俳優さんについての感想になってしまいましたが、よろしければお付き合い下さい。
好き度🍙★★★☆☆
※前半はふんわりネタバレ、後半はドラマの結末を含めた感想を書いています。
出典:KBS
役に「ハマる」ということ
今作の最大の魅力は主演のシン・ヘソンとキム・ミョンスがそれぞれの役にぴったりハマっていること。
ハマる俳優さんをキャスティングするのがどれほど重要なのかということを感じました。
とにかくねぇ
ミョンスが天使なのよ
出典:KBS
語彙力なさすぎて恥ずかしいが
この一言に尽きる…天使…
天使キム・ダンは任務をまっとうし、もうすぐ天国に行けるという時に「人間の生死にかかわってはいけない」という天界のルールを破ってヨンソを助けてしまいます。罰として「ヨンソに愛を見つけてあげる」という任務を与えられたダンは、ヨンソの秘書として働くことになるのですが。
秘書としてヨンソに寄り添うダンがあまりにも明るくて、純粋で無邪気で前向きで。
ここまで善良だったら白スーツ着る資格ありという天使そのもの。
過去の出来事のせいで性格がねじまがっちゃってるヨンソとの対比で、ダンの無邪気さや純粋さがより真っ白に見えるの。闇の中の光が明るく見えるように。
「おまえ性格悪いな」と怒りながら、喧嘩しながら、忠犬ハチ公のようにヨンソをそばで支えます。
出典:KBS
ふわふわのたんぽぽの綿毛のような前向きさで「僕のところまでおいで」とヨンソを励ます天使。仔犬みたいな顔してさ。
わたしのこともはげましてください。
キム・ミョンスじゃなかったらこんなにかわいくて温かくてふんわりした天使らしい天使にはならなかったと思います。かわいいとかっこいいのバランスが天使役をするにぴったりの配分なの(天使にぴったりの配分とは)
羽根がはえるシーンのCGが安くてちょっとしらけてしまうけど、ミョンスの羽だから許してあげる。ミョンスだから。
出典:KBS
シン・ヘソンの演技がすごすぎるので、ミョンスの演技がちょっとアレだな…と思ってしまう部分もありました。でも大丈夫。ミョンスだから大丈夫。
キム・ミョンスが天使キム・ダンをやってくれただけで100点!合格です(何様)
地球上の善なるものを集めたかのような白天使ダンが、ヨンソのために黒スーツも似合う男になっていくそのあたりの変化も、天使にぴったりの配分が生かされていて良かったです。
出典:KBS
そして事故により両目を失明し、自暴自棄に暮らす元バレリーナ、イ・ヨンソを演じたシン・ヘソンさん。
シン・ヘソンの演技力がこのドラマの芯になっているというか。
シン・ヘソンじゃなかったらもっとチープなドラマになってただろなと思います。特に、物語のはじめにヨンソの目に光が戻るシーンは喜びと悲しみの入り混じった複雑な感情演技にとても引き込まれました。天才。演技神。
個人的な気づきがあったのは、私はどうやら性格悪くてキレ散らかしてるシン・ヘソンが好きらしい。
出典:KBS
シン・ヘソン代表作のなかで『哲仁王后』のつぎに好きなキャラかも。
反対に「黄金の私の人生」のシン・ヘソンはイライラしてしょうがなかったです。どんな役にでも自分を合わせられるタイプの俳優さんだから役によって好ききらいが出てきちゃう。
性格悪いヨンソが少しずつ弱さを見せていく変化もさすが安定の演技力。
『優しくされるのはきらい。弱くてもいい気がしてしまう』
出典:KBS
たんぽぽの綿毛のように温かくて優しい白天使だけには弱さを見せるイ・ヨンソ。
バレエシーンは、まったくのド素人から見てそれはバレエなのか?というシーンの連続でしたが、シン・ヘソンの演技力を存分に生かしたという意味では大成功でした。
出典:KBS
ドラマを見るときは脚本重視派なので、物語がおもしろければ、好きな俳優さんが出演していなくても人生ドラマになりえると思っています。
逆をいえば、好きな俳優さんが出演していても脚本がおもしろくなければ「つまらない作品」になってしまうわけで。
「ただひとつの愛」は良くいえば正統派のラブストーリー、悪くいえばよくある物語です。
ファンタジー要素に加えて、ふたりが惹かれあっていく過程やふたりの過去、悪役にいたるまで、特に目新しさはありません。
それなのに、けっこう真剣に見ちゃったじゃん?わたし…
脚本がそれほどおもしろくなくてもキャスティングの妙で、ここまで作品の質ってあげられるんだなと新鮮でした。
このパッとしない物語(ごめんなさい)をここまで輝かせられるのは、シン・ヘソンの演技力とキム・ミョンスの魅力のおかげだな~と、役柄と本人の魅力がリンクすることの重要性について考えさせられました。
出典:KBS
ネタバレ感想
※ここからはネタバレありの感想です。物語の結末に触れています。
常々思っていることなのですが、ファンタジーものって設定がしっかりしてないと世界観に没入できないし、矛盾を感じた瞬間にしらけちゃうんですよ。
「ただひとつの愛」は、前提となる天上界のルールがもろもろ適当すぎました。
後出しも多く「神の思し召し」で貫き通せばなんとでもなるような設定。ってか設定とかあんまり考えてなくて、物語に都合の良いように変えてるような印象です。
「消滅する」「天使に戻って天国に行く」「人間になってヨンソと幸せになる」どのルートを通ったらどのゴールにたどりつくかはっきりしていないから、最後は雰囲気という力技でめでたしめでたしに完結させた感じがあります。
・天使ダンに与えられた任務は、ヨンソへ真実の愛を見つけてあげること。相手はとくに指定されてないので、ふたりが愛し合った時点で任務完了で消滅はなくなるのではないか。
・天使が人間になるためには「自分を犠牲にする愛」が必要とのことですが、それって結局元天使の経験を基にした推測でしかない。
(あまりにも身近に元天使がいて天使の希少価値意外と低い?)
(しかも元天使の過去の女がヨンソにうりふたつの別人と)
・ヨンソは「悪人に殺される運命」だったのに、ダンがいなくなったらその運命自体なかったことになってるのはなぜ?ダンの存在とヨンソの運命には関連性があった?
・天使に戻ったダンはなぜ天国に行かなかったのか。(ヨンソの側にいることを選んだ?)
・天使に戻ったダンがなぜヨンソに見えるようになったのか。
・それでダンは人間になったの?
全体的にすっきりせずに収まり悪い片づけ方で、ご都合主義な展開が気になりました。
出典:KBS
まあ それはいいとして。
いちばん消化不良をおこしたのが、ダンの先輩天使が、ダンを助けて人間の生死に関与し消滅するという部分。
「愛する人のために自分を犠牲にすることができるか」というのが、このラブストーリーのひとつのテーマだと思っていました。
ダンもヨンソも、愛する人を助けるために自分を犠牲にしようとするんだけど、それは果たして相手の幸せになるのかという葛藤がひとつの見どころで、涙を誘うところでもあるのですが。
「自分を犠牲に相手を助けても誰も幸せになれない」という葛藤に涙していたところに、先輩、自分を犠牲にダンを助けちゃって。
あんたがそれをやっちゃうのかい?
あんなに恐れてた消滅がちょっと軽い感じになっちゃわない?
これは物語として正解なのか???
涙が完全にひっこんでしまいました。
出典:KBS
ストーリーの細かいところでつっこみたいところは本当に山ほどあるのですが(笑
いちばんの感想は、主演おふたりが素敵だったということです。
シン・ヘソンの次回作「生まれ変わってもよろしく」を今とても楽しみにしているのですが、またファンタジー系なので一抹の不安アリ。
シン・ヘソンだからそんな心配必要ないとは思いますが。